介護と防災~必要な知識を身につける~

介護施設の防災豆知識「非常食の選び方」

必要な備蓄食品と非常食

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必要な備蓄食品と非常食

必ず用意しておきたいもの

まずは「お米」です。お米はそのままでは食べにくいので、乾燥した状態で備蓄する場合は、炊飯器やコンロも必要です。ただし、災害時には炊飯そのものができなかったり、安全上の問題で火気が使えなかったりすることもあるため、炊かずに食べられる「アルファ米」やパックご飯も備蓄しておきましょう。
アルファ米はパックに入ったまま水やお湯を注ぐとご飯に戻るお米のことです。パックご飯同様、常温で数年間保存できます。アルファ米やパックご飯は最低3日分、1日3食食べるとして合計9食分を備蓄しておいてください。
保存しやすい「フリーズドライ食品」も備蓄しておきましょう。フリーズドライは食品を凍らせて水分を昇華させ、真空に近い状態で乾燥させるため、細菌の繁殖を防ぎ、味を損なうことはありません。アルファ米のように水やお湯をかけると元の状態に戻るので、簡単に調理できます。
ビスケットのような菓子類から、納豆、味噌汁、リゾットのような調理食品までさまざまな種類があります。入居者の健康状態や必要カロリーに応じて、フリーズドライをうまく活用して栄養素の偏りを防ぎましょう。

入居者の健康状態に応じたものを用意する

災害時は現場が混乱しています。救援物資も届きにくくなるため、必要な食事が思うように配給されないことがあります。入居者の健康状態に対応した非常食や備蓄食品を準備するようにしましょう。入居者の多くは持病や身体的な衰えを抱えています。例えば、腎臓機能が低下している人は通常の食事では塩分の過剰摂取になりかねません。塩分を控えたフリーズドライや缶詰を用意してください。

選ぶ際に気をつけたい3つのポイント

必ずしもすべての入居者が通常通りの食事ができるわけではありません。嚥下機能が衰えていると硬いものを噛めなかったり、飲み込めなかったりします。その場合は柔らかく調理されたり細かく刻まれたりしている「嚥下機能をサポートする食品」が必要です。そのため、備蓄食品や非常食を選ぶ際には、嚥下機能をサポートする食品かどうかも確認しておかなければなりません。
次に「疾病に合わせた減塩・低カロリー食品」ですが、これは入居者1人ひとりの病気や持病に合わせた食品を用意することです。減塩、糖質オフ、低カロリー、たんぱく質の多い食料品、栄養剤(マルチビタミン、マルチミネラルなど)を利用することで、栄養の偏りを抑えられます。
ただし、栄養バランスがよく塩分の少ない食品は健康維持に効果的ですが、味が薄いとおいしくないため、食欲不振の原因になります。献立の種類(主食、副菜、デザートなど)にかかわらず、「味のよい食品」を優先しましょう。
災害時は心身が大きく疲弊しています。通常とは異なる状況だと理解していても、同じ食事を繰り返していると精神的に食べづらくなります。食事をより楽しくするためにバラエティー豊かなメニューを用意してください。