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避難訓練の内容とポイント避難訓練は年2回実施
厚生労働省では介護施設に年2回の避難訓練を義務づけています。入所型の施設では、2回の訓練のうち1回は夜間に消火・通報訓練を実施しなければなりません。夜勤時は職員の人数が限られているため、少ない人数でもスムーズに行動できるように夜間に実施しているのです。
避難訓練はできるだけ具体的な災害を想定して実施しますが、「恒例行事だから」と適当な気持ちで参加している人も中にはいます。それでは実際に災害が起こった時にパニックになってしまうでしょう。職員が真剣な気持ちで参加できるような工夫も必要です。以下に避難訓練の流れをステップごとに詳しく説明しているので、改善点がないか、今一度見直してみましょう。
ステップ1「火災を認識する」
避難訓練は火災の認識からはじまります。介護施設で火災が起こった場合、火災報知器で感知するケース、入居者や職員など人が発見するケースがあります。人が発見した場合、まずはその場にいない他の職員や入居者に火災が発生したことを知らせましょう。火災報知器によって火災が発見された場合は施設内の警報が鳴るため、施設内のすべての人が何か起こったことを察知できます。火災報知器が火災を感知すれば自動的に警報器や消防署に通報されるので、119番通報は必要ありません。
ステップ2「初期消火」
担当職員は大きな声で火災の発生を知らせながら消火器を持って火災現場に向かいます。現場に到着したら消火器のホースを固定して火元から約3メートルの位置まで近づき、消火剤がなくなるまで放射してください。
防火扉が手動の場合は担当者が閉めることになります。その旨をきちんと防災マニュアルに記載しておきましょう。
ステップ3「避難誘導」
火の勢いが天井に達するほど強い場合は、その場に留まるのは危険です。初期消火はあきらめて避難してください。自力で避難できる人には適切な避難場所と避難経路を伝え、自力で避難できない人は抱きかかえたり、おんぶしたり、車いすや担架を使ったりしながら速やかに避難できるように誘導しましょう。
特に注意が必要なのは難聴や視力障害がある人です。担当者を決め、入居者と一緒に避難するようにしてください。
ステップ4「消防隊への情報提供」
避難場所に着いたら入居者と職員が全員揃っていることを確認します。避難経路ごとに、訓練参加者の安否や人数、負傷者の有無を確認し、負傷者がいる場合は速やかに応急手当を行ってください。
これらの情報を消防隊に正確に伝え、消防隊の指示に従ってください。入居者や職員のリスト、施設の図面などが求められる場合もあるので、スムーズに提出できるように準備しておきましょう。
ステップ5「訓練の振り返り」
避難訓練終了後は、「訓練にかかった時間」「通報・初期消火・避難誘導までの流れ」「避難中に危険があったか」「職員の役割分担や指示は適切か」「避難経路は安全だったか」を見直し、前回の結果と比較してください。
振り返りで得た気づきは、対策案として次回の訓練に反映させましょう。