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BCP策定の義務化について被害を最小限に抑えるために必要不可欠
BCPは「Business Continuity Plan」を略したもので、日本語では「事業継続計画」といいます。自然災害や感染症、テロなどの緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑え、速やかに事業を再開・継続するための計画のことで、介護業界だけでなくすべての業界にとって重要な課題です。
BCPの対象となるような緊急事態が発生した場合、電気やガス、水道などのライフラインが遮断され、外出も困難になります。通常通りに介護サービスを提供するのは難しいでしょう。しかし、提供が途絶えれば入居者の健康に悪影響を及ぼしてしまいます。場合によっては生命も脅かしてしまいかねません。
安定した介護サービスを提供し、施設や事業所の強靭性を強化するためにも、BCPの策定は非常に有効です。
では、実際にどのような手順で作成すればいいのでしょうか。BCPの作成については以下の厚生労働省のサイトで詳しく説明しているので、一度目を通しておきましょう。
2024年から義務化
2021年4月に施行された厚生労働省の「令和3年度介護報酬改定」では、改定施行から3年後の2024年から介護サービスを提供しているすべての施設や事業所に対して、BCPの策定と関連する訓練・研修の実施が義務化されました。
厚生労働省はこの義務化に伴い、介護施設や事業所のBCP策定を支援するガイドラインも公表しています。同ガイドラインでは、「新型コロナウイルス感染対策」と「自然災害対策」の2つの軸で介護施設・事業所のBCPを定義し、それぞれ「入所系」「通所系」「訪問系」でまとめています。
NTTデータ経営研究所が2022年3月に発表した「介護施設・事業所におけるBCPの取り組み調査の報告書」によると、自然災害時のBCPを策定している施設・事業所は全体の26.9%(470事業所)、これから策定を予定している施設・事業所は50.3%(880事業所)、まだ策定しておらず計画の目処も立っていない施設・事業所は22.8%(399事業所)となっています。
自然災害のBCP対策
いざという時にも滞りなく介護サービスを提供するためには事前の備えが大切です。介護施設や事業所では従来の防災計画に加えて、避難確保、介護サービスの事業継続、地域貢献や連携も合わせて総合的に検討する必要があります。
防災計画との違い
共通する部分も多いので混同されがちですが、BCPと防災の違いを簡単に説明すると、防災は災害を扱うのに対し、BCPは災害を含むあらゆるリスクに備える、という点が大きく異なります。業務を停止させるさまざまな問題を想定し、防災が機能しないことを前提に計画を立てます。防災計画は生命の安全や物的資源の確保が主な目的ですが、BCPは事業継続と早期復旧が目的です。防災だけでなく、サービスが停止した場合の代替策も準備しておく必要があります。