介護と防災~必要な知識を身につける~

いざという時に備えて防災マニュアルを準備しよう

防災マニュアルを用意しておく

更新日:

防災マニュアルを用意しておく

なぜ防災マニュアルが必要なのか

介護施設で避難訓練を行う目的は、災害が発生した時に消防隊が到着するまでの間、いかに迅速かつ的確に行動できるかを確認するためです。しかし、実際に災害が発生したら的確に行動するのは難しいでしょう。高齢者は体力や判断力が衰えているので移動に時間がかかりますし、職員によって対応の仕方が異なる場合もあるからです。
避難訓練の効果をより高めるために有効なのが、防災マニュアルです。防災マニュアルがあればいざという時も慌てずに行動できます。防災マニュアルには避難に必要な介助量、誘導の仕方、グループ分け、役割分担などがあらかじめ記載されているので自分の役割を理解しやすくなり、入居者の避難方法についても共通認識を持つことができるからです。もし災害が起こってもパニックになることなく、迅速に行動できるでしょう。マニュアルに沿って行動することで、被害を最小限に食い止めるのはもちろん、二次被害も防げます。

内容

防災マニュアルには「災害時の組織図(職員の役割分担など)」「緊急時の連絡網」「入居者の一覧表(緊急時の連絡先や疾病など含む)」「避難経路」「災害時の対応方法(誘導の流れや消火設備の使用方法など)」を記載します。誰が見てもわかりやすいように、フローチャートやイラストで示すといいでしょう。
また、地域ごとに発生しやすい災害の特徴が異なります。自分の住んでいる地域の災害の特徴も事前に把握しておきましょう。

防災マニュアルの作り方

まずは災害発生時に迅速な対応ができるよう役割を明確化します。具体的には、組織全体を統括・指揮する「統括責任者」、消防署や防災関係機関に災害情報を伝達する「情報連絡班」、負傷者の救助、応急処置、医療機関への搬送などを行う「救護班」、初期消火や防災機器の操作などをする「消火班」、避難経路の確認、避難経路や建物の安全確認などを行う「避難誘導班」などです。
次に、情報収集について決めておきます。災害時に迅速かつ安全に避難するためには情報収集が重要です。どの時間帯でも正確な情報を収集し、発信できる体制を整えておきましょう。あらかじめ地域のライフライン(電気、水道、ガス)や消防署の連絡先をマニュアルに記載しておくと情報収集がスムーズにできます。通信障害が発生する可能性もあるので、代替の連絡手段も用意しておきましょう。
また、スムーズに伝達できるように緊急連絡網は部署やグループごとに作成しておいてください。すぐに連絡が取れなければ意味がないので、登録されている情報は常に最新の状態になるようアップデートしておきましょう。
安全に避難するために、さまざまな災害を想定して避難場所も決めておくことも大切です。